妊娠中の体重管理に必要な食事制限
昔なら、妊娠したら赤ちゃんの分まで栄養をとらなきゃ、と周囲の人からも、もちろんお医者さんからも、なんでもしっかり食べることを勧められました。
でも、最近は医療が進んで
妊娠中の体重はBMIごとに許容範囲以内にすることを守ることが求められるように変化してきています。
新米ママは、実母や義母の昔ながら流儀に気をつかいながらも、自分と赤ちゃんの健康を守らなきゃいけないので大変ですね。
★本当に守るべきルールは?
★ルールを守らない場合のリスクは?
正しい知識を身に付けて、理想的な体重管理で元気で健康な赤ちゃんと対面しましょう。
自分の体型を確認しましょう
体重管理の基本は、BMI(ボディー・マス・インデックス)値です。体重と身長の関係によって人の肥満度を示す指数で、以下の計算式で誰にでも簡単に求められます。
BMI指数は体脂肪率と相関関係にあると言われており、日本肥満学会では、病気にかかりにくいことが統計的に判明しているBMI指数22を標準体重としています。
日本肥満学会の基準では、22を『標準』、25以上を『肥満』、18.5未満を『低体重』としています。
新米ママの一番最初にやるべきことは、自分の体型を確認することです。妊娠前のBMI値によって妊娠後どこまで体重が増えてもいいのかが異なります。
これによって、一人ひとりの体型に適した、適切な体重管理ができるようになります。
肥満は、糖尿病など生活習慣病や妊娠に関わる病気の元になるリスクがあるため、妊娠中も正しい体重管理が必要になります。妊娠したからと言って昔ながらの体重増加を大目にみていると、後になってママにも赤ちゃんにもリスクを残すことになるため、しっかり体重管理を行うことが大切なんですよ!
体重増加の目安&太り過ぎのリスクとは
妊娠中は、1週間に500g以上体重が増えないようにする ことがポイントです。
目安の体重まで太っていいということではなく、範囲内に入っている ことを確認するために使います。
体重管理をすることで病気の早期発見や治療につながりますから、体重の変化はしっかり確認する習慣づけを身に付けましょう。
やせ型(BMI18.5未満)・・・9〜12kg
ふつう(BMI18.5以上25.0未満)・・・7〜12kg
肥満型(BMI25.0以上)・・・病院にて要個別対応
肥満は妊娠していなくても、生活習慣病を発生させる原因になります。
特に妊娠した新米ママは、自分と赤ちゃんの健康を自分ひとりの身体で維持していくため、臓器にも負担がかかり気味になります。
それ以外にもママの身体は、赤ちゃんを育てるために免疫力や抵抗力も低下しやすい状態になっているため、一度病気にかかると進行が早いのです。ですから、早期の段階でしっかり対応をしておく必要があるため、体重管理は大切な要素なんです。
じゃあ、太り過ぎによって起きやすくなる影響とは何か、具体的に見ていきましょう。
心臓の機能や循環器の機能が低下して、十分な血液が送れなくなる |
赤ちゃんの体重が増えない |
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高血圧やむくみ、タンパク尿が出る |
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)を起こす。胎盤機能が低下し赤ちゃんの成長に影響 |
妊娠時特有のホルモン、プロゲステロンなどがインスリンの働きを弱める |
血糖値コントロールができなくなり、赤ちゃんの命に関わる症状に発展する |
産道に脂肪が付く、循環器の機能低下 |
お産が大変になる。体力が落ちてお産が長引く |
太り過ぎないためにバランスの良い食事を
太り過ぎを解消する場合、妊娠していなければ食べずにダイエットする人もいます。
しかし、妊娠中のママは赤ちゃんの成長を維持するために栄養を摂らなければいけません。赤ちゃんは、ママの胎盤を経由してしか栄養が摂れませんからね。妊娠中に偏った食事で栄養が不足すると、赤ちゃんの成長や出産への悪影響、抜け毛や便秘などの体調不良も起しやすくなります。
イギリスのある研究によれば、妊娠中の栄養が不足すると低血糖になり、将来子供が糖尿病や高血圧などの生活習慣病になるリスクが高まるという報告もあります。また、動物実験ではありますが、栄養を減らすと細胞分裂が少なくなり、将来脳に影響する可能性があるということもわかっています。
ですから、体重管理をするためには、無理なダイエットはせずに、1日3食を保ちながらバランスよく食べて栄養を摂取することが大切になるのです。
以下の食材は、毎日食べましょう。
摂るべき栄養素は、たんぱく質・炭水化物・脂肪・ビタミン・ミネラル(カルシウムと鉄分)・水、で、
2割程度のたんぱく質、5〜6割程度の炭水化物、2〜3割程度の脂肪、そしてビタミンとミネラル
を摂ります。
妊娠すると普段より多くの栄養素を摂ろうと、食べる量も自然と増えてしまいます。それに従って自然に塩分も増えてしまいがちです。塩分過多になると高血圧やむくみの原因になり、やがては赤ちゃんにも影響しますから、意識して塩分は減らしましょう。
●葉酸不足は…
妊娠4〜5週くらいまで葉酸が不足すると、赤ちゃんが神経管閉鎖障害という脳や脊椎の形成異常を発症することがあります。
●鉄分不足は…
妊娠中期は通常の倍の鉄分が必要になります。鉄分不足は、イライラやたちくらみ、頭痛、肩こりなどの症状や低体重児の
出生につながります。
●カルシウム不足は・・・
ママの身体は、赤ちゃんの骨や歯を作るためにカルシウムが必要になります。カルシウムが不足すると、ママの骨や歯の
カルシウムが溶け出して赤ちゃんに使われます。そうなるとママの骨が弱くなったり歯がボロボロになるなどの弊害を発症
します。
栄養を摂ることが必要ですが、十分に食べられないときには、おやつを利用して栄養を補給
しましょう。
おやつ=高カロリースイーツではありません。高カロリーなおやつは糖分過多になりますし、
ジャンクフードは塩分や油分の摂り過ぎになります。おやつは不足しがちな栄養素を補給
するために食べましょう。
ただし、食べ過ぎないように食べる分だけお皿に取り分けるなどして食べるようにしてください。
美味しいものを食べることは、充足感につながり幸せを感じる大切な行動です。
理想のボディラインを求めて、無理な食事制限をする若い女性がいますが、妊娠中に、食事を作る楽しさや食べる楽しさを積極的に味わって、3食のリズムや自分の食生活を見直して、生まれてくる赤ちゃんにも食べることの大切さを教えることができるママになれるように一緒に成長していきましょう