妊婦の食事と赤ちゃんのアレルギーの関係
もともとアレルギー体質だったり、家族にアレルギー体質の人がいるプレママは
『せっかく生まれてくる赤ちゃんがアレルギー体質にならないか』
をとても心配する人が少なくありません。
アレルギーの三大要素の卵・牛乳・大豆やコメや小麦を食べない方がいいんじゃないか、あれもこれも食べた方がいいらしい・・・、というように、心配し過ぎて情報に振り回されてしまって、かえってストレスをため込んでしまうプレママもいるくらいです。
まずは、心配し過ぎずに、ゆったりとした気持ちで妊娠生活を過ごすことが一番大切なのを忘れないで。
それでも『赤ちゃんのアレルギーが心配でたまらない』って?
じゃあ、そんなプレママに、どうすればいいかを、わかりやすく解説していきましょう!
アレルギー体質は、「食事」より「遺伝」
結論から言うと、妊娠中の食事で赤ちゃんがアレルギー体質になってしまうことはほぼありません。
米国小児科学会や欧州小児アレルギー学会でも、「妊娠中の明らかに根拠のない除去食は、母体や胎児の栄養の低下を招く危険性から行わないこと」という方向性が出されています。
赤ちゃんがアレルギー体質になるかどうかは、ご家族にアレルギー体質の方がいるかどうかで決まる
と言われています。
そして、赤ちゃんもアレルギー体質になりやすい素因を持っている場合、発症するかどうかは
発症が過敏な時期にどの様な対処ができるか、で決まる
と考えられています。
最近では、妊娠8か月〜生後8か月まで、アレルゲンである卵や卵製品を完全に排除した場合に、満5歳までのアトピー性皮膚炎や小児ぜんそくなどの発症率が33%〜50%程度に抑えることができた、という臨床報告もあります。
ですから、妊娠中は赤ちゃんを健康で元気に育むために、アレルギー体質要素を考えながらも、栄養のある食事を偏らずにバランスよく食べることが重要です。
赤ちゃんがアレルギー体質になりやすい過敏な時期って?
赤ちゃんがアレルギー体質にならないように気をつける時期は、妊娠8か月以降〜授乳期間までです。
赤ちゃんはママの大切な分身ですが、お父さんのDNAも引き継いでいるため実際にはママの身体にとっては異物になります。人間の身体は異物を排除し攻撃しようとする免疫機能という働きがあります。実際には、アレルギーとして働く細胞(Th2)と、防御として働く細胞(Th1)の2種類がバランスをとっていて、アレルギーとして働く細胞(Th2)が強く出るとアレルギー反応として現れます。
赤ちゃんがお腹の中にいる間は、羊水という守られた環境にいるため、防御の必要のないTh1はその働きが抑えられ、かつ、赤ちゃんが母親のTh1に攻撃されないようTh2が優勢になっています。
特に8か月以降になるとTh2がアレルギーの元となるIgE抗体を作り始めると言われているので、いかにTh2が働かないようにしていくかが大切で、妊娠8か月以降はアレルゲンに極力触れないようにする方が望ましいと言われています。
赤ちゃんが生まれた後は、腸内細菌や外部環境から身を守るためTh1が徐々に強くなってきて、やがてTh1とTh2がバランスが取れる状態になり、アレルギーではない健康な状態が保てるようになります。
ですから、生まれたすぐは、Th2が強いため、赤ちゃんはアレルギーになりやすい状態と言えこの時期に多くのアレルゲンに触れてしまうことで、かえってアレルギー体質が引き起こされるとも考えられています。
そのため、アレルゲンから遠ざけてあげた方が良く、Th1の強化も必要です。特に生後3か月までは、アレルゲンに触れることでTh2が以上に強くなる傾向がかなり強いと言われています。
腸粘膜が強くなるのが生後6〜8か月ごろ、アレルギー体質傾向が強い場合は10〜12か月ごろまでは注意が必要と考えられます。この頃は、標準的な離乳食の開始時期でもあり、何でも食べられるようにと無理に離乳食を早めたり、果汁を早くから飲ませたり、ということは避け、自然な離乳食への切り替えを行った方が望ましいです。
ですが、冒頭でも言った通り、過度の対応を考えるよりも、赤ちゃんとママの身体を考えてバランスよくたべることを優先に考えましょう。ママの身体がアレルギーによってその食品が食べられないという場合には、医師の指導に従ってください。
アレルギーを意識したバランスよい食事とは
赤ちゃんのアレルギーを予防するためには、妊娠8か月〜授乳中の期間に食物アレルギーを意識した食生活を送ることが必要です。
具体的な注意点を挙げてみました。