妊婦の必須成分「鉄」
鉄の必要性
妊娠すると、母体だけではなく、赤ちゃんに十分な酸素と栄養を運ぶために血液の量が増えます。でも、赤血球の量は急激には増えないため、赤ちゃんに優先的に運ばれるようになり、そのため母体である妊婦の身体の鉄分が不足して、貧血気味になってしまいます。
赤ちゃんは健康にすくすく育っているのに、お母さんである妊婦さんが貧血と診断されるのはこのためです。
軽い貧血であれば赤ちゃんへの影響はほとんどありません。しかし、重症の貧血になると、母体の健康だけではなく、赤ちゃんに送る栄養や酸素が足りなくなるという危険性があります。
また、そもそも貧血では立ちくらみなどの症状が起きるようになりますから、お母さんが転ぶことによる赤ちゃんへのリスクもあります。
どれくらい摂ればいいのか?
妊娠中期以降になると、鉄分の必要量が急激に増えてきます。
一般女性:10.5mg
妊娠初期:13mg
妊娠中期〜後期:21.0mg
つまり、妊娠していない時の2倍程度の摂取が必要になります。これは胎児が鉄分を必要とするからです。
鉄分を多く含む食材には以下のものがあります。
また、食品が含む鉄分は、ヘム鉄(肉や魚に含まれ吸収率が高い)と非ヘム鉄(野菜・穀類・海藻類に含まれ吸収率が低い) があります。ヘム鉄の吸収率は10〜20%、非ヘム鉄は1〜6%です。日本人は、野菜を多く食べる傾向にあるため85%が非ヘム鉄だと言われています。
じゃあ、ヘム鉄でいいじゃん!って動物性の食品から鉄を摂ろうとする場合には、奇形リスクのあるビタミンAを含む食品が多くなるので、摂り過ぎに注意が必要です。
非ヘム鉄であれば、どれだけとっても心配がないため、ビタミンCやたんぱく質と一緒に食べると吸収率が上がりますので、組み合わせて上手に摂取しましょう。
不足するとどうなる?
逆に、非ヘム鉄の吸収率を下げてしまう成分もあります。
お茶やコーヒーに含まれるタンニンや穀類や豆類に含まれるフィチン酸は吸収率を下げます。それ以外にも食物繊維を過剰に摂ったり、炭酸やリンも良くないと言われていますが、いずれも過剰摂取でなければ問題はありません。
食事を少し気をつければ貧血もだいぶ改善できます。組み合わせが難しいようでしたら、サプリメントを活用すればお茶で飲んでも、問題ありませんので簡単に摂取することもできます。